Excel統計・分析関数の使い方完全ガイド|STDEV・VAR・RANKなど12種類をわかりやすく解説

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Excelには、データを分析したり統計的な傾向を把握したりするための「統計・分析系関数」が多く用意されています。
たとえば、平均だけでなくデータのばらつきを求めるSTDEV関数や、順位付けをするRANK関数などは、ビジネスや研究、教育現場でもよく使われます。
本記事では、統計・分析系関数の中でも代表的な12種類(STDEV、STDEVP、VAR、VARP、LARGE、SMALL、RANK、RANK.EQ、RANK.AVG、PERCENTILE、QUARTILE、CORREL)を、初心者でもわかるように例付きで丁寧に解説します。
Excelの分析スキルを高めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。


STDEV関数(標本の標準偏差)とは

STDEV関数は、データの「ばらつき」を表す標準偏差を求める関数です。
標準偏差とは、各データが平均からどのくらい離れているかを示す指標です。
数値のばらつきが大きいほど、標準偏差の値も大きくなります。

書式

=STDEV(数値1, [数値2], …)

=STDEV(A1:A5)

この場合、A1からA5までのデータの標本標準偏差を求めます。
サンプル(標本)としてのデータに使う関数です。

ポイント
・全データではなく、一部のサンプルから母集団を推定する場合に使う。
・Excel 2010以降では、STDEV.Sに置き換えられました。


STDEVP関数(母集団の標準偏差)とは

STDEVP関数は、母集団全体の標準偏差を求める関数です。
「全員分のデータがある」場合に使います。

書式

=STDEVP(数値1, [数値2], …)

=STDEVP(A1:A5)

この場合、A1からA5までの全データの母標準偏差を求めます。

違い
STDEVが「サンプル用」なのに対し、STDEVPは「母集団用」です。
Excel 2010以降では、STDEV.P関数に置き換えられています。


VAR関数(標本の分散)とは

VAR関数は、データの分散を求める関数です。
分散とは、各値が平均からどのくらい離れているかの二乗平均を示します。
標準偏差の平方(2乗)にあたります。

書式

=VAR(数値1, [数値2], …)

=VAR(A1:A5)

この場合、A1からA5までのデータの標本分散を求めます。

使いどころ
・STDEVと同様に、サンプルデータを扱うときに使う。
・Excel 2010以降ではVAR.S関数が推奨されています。


VARP関数(母集団の分散)とは

VARP関数は、母集団全体の分散を求める関数です。
すべてのデータが揃っている場合はこちらを使います。

書式

=VARP(数値1, [数値2], …)

=VARP(A1:A5)

注意点
・STDEVPと同様、Excel 2010以降ではVAR.P関数が推奨されています。
・標本ではなく「全体」データで分析する場合に使用。


LARGE関数(上位の値を求める)とは

LARGE関数は、データの中から「n番目に大きい値」を求める関数です。

書式

=LARGE(配列, k)

・配列:範囲を指定
・k:何番目に大きいかを指定

=LARGE(A1:A10, 1)  → 最大値  
=LARGE(A1:A10, 2)  → 2番目に大きい値

活用例
・売上上位3件を求めたい場合
・テストの上位得点者を分析したい場合


SMALL関数(下位の値を求める)とは

SMALL関数は、LARGE関数の逆で、「n番目に小さい値」を求めます。

書式

=SMALL(配列, k)

=SMALL(A1:A10, 1) → 最小値  
=SMALL(A1:A10, 2) → 2番目に小さい値

活用例
・成績下位者のスコア分析
・不良値や下限値の把握


RANK関数(順位を求める)とは

RANK関数は、指定した数値がデータの中で何位かを求めます。

書式

=RANK(数値, 範囲, [順序])

=RANK(B2, B2:B10, 0)

この場合、B2の値がB2:B10の中で何位かを求めます。
順序を「0」にすると降順(大きい順)、1にすると昇順(小さい順)です。

注意点
Excel 2010以降では、より明確なRANK.EQ関数とRANK.AVG関数が登場しています。


RANK.EQ関数(同順位は同じ順位で扱う)とは

RANK.EQ関数は、同順位の値を同じ順位にして扱う関数です。

書式

=RANK.EQ(数値, 範囲, [順序])

=RANK.EQ(B2, B2:B10, 0)

特徴
・同点の場合、同じ順位になる
・RANK関数と同様だが、Excel新仕様で安定して使える


データ:100, 90, 90, 80
→ RANK.EQで求めると順位は「1, 2, 2, 4」になります。


RANK.AVG関数(同順位は平均順位で扱う)とは

RANK.AVG関数は、同順位がある場合に平均順位で処理します。

書式

=RANK.AVG(数値, 範囲, [順序])


データ:100, 90, 90, 80
→ RANK.AVGでは順位が「1, 2.5, 2.5, 4」となります。

使い分け
・同順位を同一扱いにするならRANK.EQ
・順位の平均を反映したい場合はRANK.AVG


PERCENTILE関数(パーセンタイル値を求める)とは

PERCENTILE関数は、データの中で指定した割合に相当する値を求めます。
「上位〇%に入るライン」を調べるときに便利です。

書式

=PERCENTILE(配列, k)

・配列:データ範囲
・k:0~1の範囲の小数(割合)

=PERCENTILE(A1:A10, 0.9)

この場合、上位10%の境界値を求めます。

用途
・成績上位者のカットラインを求める
・営業成績上位10%を抽出する

補足
Excel 2010以降ではPERCENTILE.INCが標準です。


QUARTILE関数(四分位数を求める)とは

QUARTILE関数は、データを4つに分ける位置(四分位数)を求める関数です。

書式

=QUARTILE(配列, 四分位数)

・四分位数は0~4を指定

  • 0:最小値
  • 1:第1四分位(25%)
  • 2:中央値(50%)
  • 3:第3四分位(75%)
  • 4:最大値

=QUARTILE(A1:A10, 3)

この場合、第3四分位(上位25%ライン)を求めます。

用途
・データの分布を4分割して分析
・箱ひげ図を作るときに活用


CORREL関数(相関係数を求める)とは

CORREL関数は、2つのデータの相関関係を数値で表します。
相関係数は -1 ~ +1 の範囲で、次のように解釈します。

値の範囲意味
+1完全な正の相関(片方が上がるともう片方も上がる)
0相関なし
-1完全な負の相関(片方が上がるともう片方が下がる)

書式

=CORREL(配列1, 配列2)

=CORREL(A1:A10, B1:B10)

この場合、A列とB列の数値の関係性を調べます。

用途
・売上と広告費の関係を調べる
・気温と売上の関連を分析する


Excelの統計・分析関数を使うコツ

  1. 平均だけでなくばらつきを見る
     STDEVやVARを使うことで、データの安定性がわかります。
  2. 順位付けで傾向をつかむ
     RANK関数は営業ランキングや成績比較に有効です。
  3. データの分布を理解する
     PERCENTILEやQUARTILEを使えば、上位・下位のバランスを見やすくなります。
  4. 関連性を見抜く分析
     CORREL関数を使うと、2つの指標のつながりを数値で確認できます。
  5. グラフと組み合わせる
     箱ひげ図や散布図と組み合わせると、分析結果を視覚的に伝えやすくなります。

まとめ

Excelの統計・分析系関数は、データを「見る」だけでなく「理解する」ための強力な武器です。
STDEVやVARでばらつきを知り、RANKで順位をつけ、PERCENTILEやQUARTILEで分布を把握し、最後にCORRELで関係性を探る。
これらを組み合わせることで、単なる表が“分析ツール”に変わります。

データの意味を読み解く力は、どんな職種にも役立つスキルです。
ぜひ今日から、Excelの統計・分析関数を使って「数字の裏にあるストーリー」を見つけてみてください。

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