Excelを使う上で欠かせないのが「計算系の関数」です。
売上の合計を出したり、平均値を求めたり、端数を処理したりと、日常業務でも頻繁に使われるこれらの関数を理解しておくと、作業の効率が一気に上がります。
本記事では、Excelの基本的な算術系(計算系)関数20種類を、初心者の方にもわかりやすく例付きで丁寧に解説します。
これを読めば、Excelの計算がぐっとラクになります。
- SUM関数:数値の合計を求める
- AVERAGE関数:平均値を求める
- MEDIAN関数:中央値を求める
- MAX関数:最大値を求める
- MIN関数:最小値を求める
- COUNT関数:数値の個数を数える
- COUNTA関数:空白以外のセルを数える
- PRODUCT関数:掛け算の合計を求める
- POWER関数:べき乗を計算する
- ROUND関数:四捨五入する
- ROUNDUP関数:切り上げる
- ROUNDDOWN関数:切り捨てる
- CEILING関数:指定単位で切り上げる
- FLOOR関数:指定単位で切り捨てる
- ABS関数:絶対値を求める
- SQRT関数:平方根(ルート)を求める
- MOD関数:割り算の余りを求める
- RAND関数:0~1の乱数を返す
- RANDBETWEEN関数:指定範囲内の乱数を返す
- SIGN関数:符号を返す
- まとめ
SUM関数:数値の合計を求める
Excelで最もよく使われる関数が「SUM」です。
指定した範囲内の数値をすべて合計します。
構文:=SUM(数値1, [数値2], ...)
使用例:=SUM(A1:A5)
A1からA5の合計を求めます。
ポイント:
- 数値が空白や文字列の場合は無視されます。
- ショートカットとして「Alt + Shift + =」でもSUM関数を自動挿入できます。
AVERAGE関数:平均値を求める
平均値を求めたいときは「AVERAGE」関数を使います。
構文:=AVERAGE(数値1, [数値2], ...)
使用例:=AVERAGE(B1:B10)
B1からB10の平均を算出します。
ポイント:
- 空白セルは無視されます。
- 「0」は計算対象に含まれるため注意。
MEDIAN関数:中央値を求める
「中央値(メディアン)」とは、データを小さい順に並べたときの真ん中の値のことです。
構文:=MEDIAN(数値1, [数値2], ...)
使用例:=MEDIAN(C1:C7)
C1からC7の中央に位置する値を返します。
ポイント:
- 外れ値がある場合に、平均よりも「代表値」として適切です。
MAX関数:最大値を求める
範囲の中で一番大きい値を求めるときに使います。
構文:=MAX(数値1, [数値2], ...)
使用例:=MAX(D1:D20)
D1からD20の中で最大の値を返します。
ポイント:
- 数値以外のセルは無視されます。
MIN関数:最小値を求める
「MAX」と対になるのが「MIN」。最小値を求める関数です。
構文:=MIN(数値1, [数値2], ...)
使用例:=MIN(E1:E20)
E1からE20の中で最小値を返します。
COUNT関数:数値の個数を数える
範囲内で「数値が入力されているセルの数」を数えます。
構文:=COUNT(値1, [値2], ...)
使用例:=COUNT(F1:F10)
ポイント:
- 文字列や空白セルはカウントされません。
COUNTA関数:空白以外のセルを数える
数値以外の文字や日付なども含めて「空白でないセルの数」を数えたいときに使います。
構文:=COUNTA(値1, [値2], ...)
使用例:=COUNTA(G1:G10)
ポイント:
- 「空白セル」以外すべてを数えるので、コメントなどもカウントされます。
PRODUCT関数:掛け算の合計を求める
すべての数値を掛け合わせた結果を返します。
構文:=PRODUCT(数値1, [数値2], ...)
使用例:=PRODUCT(H1:H3)
H1×H2×H3 の結果を返します。
ポイント:
- 「=H1H2H3」と同じ結果になります。
POWER関数:べき乗を計算する
指定した数値を「累乗」した値を求めます。
構文:=POWER(数値, 指数)
使用例:=POWER(2, 3)
2の3乗=8を返します。
ポイント:
=2^3
と書いても同じ結果になります。
ROUND関数:四捨五入する
小数点以下の桁数を指定して四捨五入します。
構文:=ROUND(数値, 桁数)
使用例:=ROUND(3.14159, 2)
→ 3.14
ポイント:
- 桁数を「-1」にすると、10の位で四捨五入されます。
ROUNDUP関数:切り上げる
常に指定した桁で「切り上げ」します。
構文:=ROUNDUP(数値, 桁数)
使用例:=ROUNDUP(3.14159, 2)
→ 3.15
ポイント:
- 常に大きい方向に切り上げられる点が特徴。
ROUNDDOWN関数:切り捨てる
ROUNDUPとは逆に、指定桁で「切り捨て」ます。
構文:=ROUNDDOWN(数値, 桁数)
使用例:=ROUNDDOWN(3.14159, 2)
→ 3.14
ポイント:
- 負の数の場合も、絶対値の小さい方に切り捨てます。
CEILING関数:指定単位で切り上げる
指定した「倍数単位」で切り上げます。
構文:=CEILING(数値, 意味のある倍数)
使用例:=CEILING(123, 10)
→ 130(10の倍数で切り上げ)
ポイント:
- 消費税などの端数処理でよく使われます。
FLOOR関数:指定単位で切り捨てる
CEILINGの反対で、指定倍数で切り捨てます。
構文:=FLOOR(数値, 意味のある倍数)
使用例:=FLOOR(123, 10)
→ 120
ABS関数:絶対値を求める
数値の符号を無視して「正の数」を返します。
構文:=ABS(数値)
使用例:=ABS(-10)
→ 10
ポイント:
- 損益や差分の計算で、マイナスを避けたいときに便利。
SQRT関数:平方根(ルート)を求める
平方根(√)を求めます。
構文:=SQRT(数値)
使用例:=SQRT(16)
→ 4
ポイント:
- 負の数を指定するとエラー(#NUM!)になります。
MOD関数:割り算の余りを求める
割り算の「余り」を返す関数です。
構文:=MOD(数値, 除数)
使用例:=MOD(10, 3)
→ 1(10 ÷ 3 の余り)
ポイント:
- 奇数・偶数判定にも使えます。
=MOD(A1,2)=0
なら偶数。
RAND関数:0~1の乱数を返す
0以上1未満のランダムな数値を生成します。
構文:=RAND()
使用例:=RAND()*100
→ 0〜100未満の乱数が得られます。
ポイント:
- シートを再計算するたびに数値が変わります。
RANDBETWEEN関数:指定範囲内の乱数を返す
指定した範囲内の整数の乱数を生成します。
構文:=RANDBETWEEN(最小値, 最大値)
使用例:=RANDBETWEEN(1, 10)
→ 1〜10の整数の乱数を返します。
ポイント:
- サンプルデータやくじ引きなどに便利です。
SIGN関数:符号を返す
数値が「正・負・0」かを判定する関数です。
構文:=SIGN(数値)
使用例:=SIGN(-5)
→ -1=SIGN(0)
→ 0=SIGN(5)
→ 1
ポイント:
- 値の方向(プラス・マイナス)をロジックに活かせます。
まとめ
今回紹介した20個の関数は、Excelで計算を行ううえでの「基礎の基礎」です。
分類 | 関数名 | 主な用途 |
---|---|---|
合計・平均 | SUM, AVERAGE, MEDIAN | 集計や分析の基本 |
最大・最小 | MAX, MIN | データ範囲の確認 |
カウント | COUNT, COUNTA | セル数の確認 |
計算 | PRODUCT, POWER | 乗算・べき乗 |
端数処理 | ROUND, ROUNDUP, ROUNDDOWN, CEILING, FLOOR | 小数点・金額処理 |
数値操作 | ABS, SQRT, MOD | 絶対値・平方根・余り計算 |
乱数・符号 | RAND, RANDBETWEEN, SIGN | サンプル・判定処理 |
これらを組み合わせることで、複雑な集計表や自動計算シートも簡単に作成できます。
まずは「SUM」「AVERAGE」「ROUND」から慣れていき、徐々に応用関数を取り入れていくのがおすすめです。
Excelを自在に使いこなせば、日々の仕事のスピードが確実にアップします。
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