仕事の場面やチーム内で「相談したい」「フィードバックをしたい」と思ったとき、ただ漠然と話を切り出すだけでは相手に伝わりにくく、かえって混乱を招くこともあります。そんなときに役立つのが SBIモデル(Situation‐Behavior‐Impact)という枠組みです。この手法を用いれば、「どんな状況で」「どんな行動を」「どんな影響があったか」を整理して伝えることができ、受け手にとっても理解しやすく、建設的な対話が生まれやすくなります。この記事では、相談やフィードバックを効果的に行うための“相談 SBI法”について、使い方、メリット・デメリット、実践例、注意点まで丁寧に解説します。チームを率いる立場の方も、自分の意見をうまく伝えたいという方も、ぜひ参考にしてください。
相談 SBI法とは何か
「相談 SBI法」とは、フィードバックや相談を構造的に整理して伝えるための手法で、「Situation(状況)」「Behavior(行動)」「Impact(影響)」の3ステップから成ります。
- Situation(状況):いつ・どこで・どのような場面でそのことが起こったかを示す。
- Behavior(行動):その場面で相手(または自分)がとった具体的な行動を述べる。
- Impact(影響):その行動がどんな結果・影響をもたらしたかを伝える。
この構造を用いることで、話の流れが明快になり、相手も「何を言われているのか」「なぜそれが問題/改善点なのか」が理解しやすくなります。記事によれば、「フィードバック内容が理解しやすく」「内省を促す」「信頼関係を維持できる」というメリットがあります。
例えば、上司が部下に対して「会議で発言を促してほしい」という相談をしたいとき、SBI法で整理すれば以下のようになります: - Situation:昨日の10時からのプロジェクト会議で。
- Behavior:君が手を挙げて意見を言ったのは1回だけで、他のメンバーが発言を迷っている場面で声を掛けなかった。
- Impact:そのため、議論が一部のメンバーだけで偏って進み、チーム全体で考える機会を逃してしまったと思います。
このように伝えることで、問題点・改善すべき行動・その背景の影響が明確になります。
なぜ相談・フィードバックで有効なのか
相談やフィードバックがうまくいかない理由には、以下のようなものがあります:
- 内容があいまいで、相手が何を言われているのか分からない。
- 指摘だけが先行して、相手が防御的になってしまう。
- 「あなたがこうすべき」という押し付けになり、相談・対話にならない。
この点において、SBI法は構造を与えることで次のような効果を発揮します:
- 理解しやすさ:状況 → 行動 → 影響という順番で整理するため、「この場面であなたがこうして、その結果こうなった」という流れが追いやすい。
- 相手の内省を促す:自分の行動がどんな影響を及ぼしたかを知ることで、受け手が自分で振り返りを行いやすくなる。
- 信頼関係の構築:上司・相談者が「あなたをちゃんと見ている/考えている」というメッセージを込めやすい。
- 対話型の相談を生む:単なる押し付けではなく、「この行動にはこういう影響があるけれど、どう思う?」という流れにつなげやすい。
つまり、相談・フィードバックをただ「こうしたほうがいい」という指示に終わらせず、相手と一緒に改善へ向かう対話に昇華させるツールとして有効です。
相談 SBI法の具体的な使い方ステップ
実際に相談でSBI法を用いる際の流れを、順を追って解説します。
1. 準備フェーズ:対象・場面・目的を整理
まず、自分が「相談したい/伝えたい」内容を明確にし、以下を整理しておきます。
- どの場面・いつ・どこで起きたことか(Situation)
- どんな行動を相手がとったか、あるいはこちらがとったか(Behavior)
- その行動がどういう影響をもたらしたか(Impact)
さらに、自分がこの相談を通じて「どうなってほしいか」「どんな変化を期待しているか」を明らかにしておきましょう。
例えば「チーム内の議論をもっと活性化させてほしい」「業務報告の漏れを減らしたい」などです。
2. 相談時:S → B → I の順で伝える
実際の相談・対話時には、次のような順番で話を進めると効果的です。
- S(状況):いつ・どこで・どのような場面かを簡潔に述べる。
- B(行動):具体的にどんな行動があったのかを表す。ここでは「誰が/何を/どうしたか」を明示。
- I(影響):その行動によってどんな影響・結果が起きたかを伝える。可能であれば感想・気持ちも添えると良い。
その後、「あなたはどう思った?」「次はどうしたいか?」といった対話に繋げるのが望ましいです。
3. 対話・改善フェーズ:相手の意見を聴き、次の行動を共に考える
SBIで整理した後は、「どう思ったか」「今後どうしたいか」「改めてどう行動するか」という相談・対話を行いましょう。相手の意見を聴くことで、受け身ではない共同の改善プロセスになります。
場合によっては、SBIにもう一つ「Intent(意図)」を加えた SBIIモデル(Situation-Behavior-Impact-Intent)を使い、相手の背後にある意図を確認することも効果的です。
4. フォローアップ:振り返りと定着
相談・フィードバックを伝えたあとは、時間を置いて「どう改善されたか/どう感じたか」を振り返る機会を設けるのが望ましいです。これにより習慣化・定着化が進みます。たとえばミーティング後に「先日の件、どうだった?」と確認するなどが挙げられます。
相談 SBI法の実践例(肯定的/改善的な場面)
以下に、肯定的な例と改善を促す例をそれぞれ示します。
肯定的なフィードバックの例
Situation:先週木曜日の15時からの全社会議で、
Behavior:君が自ら資料に基づいて「この点を改善できるのでは?」と提案してくれた。
Impact:その提案のおかげで、参加者全体の関心が高まり、質疑が活発になりました。チームの雰囲気も「自分たちで改善しよう」という意識に傾いたと思います。
→このように伝えることで、相手の行動を肯定し、次につながる動機付けになります。
改善促進のための例
Situation:昨日のクライアント打ち合わせ(10時~11時)で、
Behavior:君は資料の配付後、クライアントからの質問に途中までしか応答せず、その後こちらからフォローしなければならなかった。
Impact:そのため、クライアントが少し不安そうにされており、信頼関係の構築に少し時間がかかる印象を受けました。
→その上で「次回は配付後、クライアントからの質問をその場で引き出して応答できるよう一緒に考えよう」といった対話に繋げると良いでしょう。
相談 SBI法を使ううえでの注意点・限界
SBI法は非常に有効ですが、万能ではありません。使用時には以下の点に注意が必要です。
- 信頼関係の有無:相手との信頼関係が築かれていない段階でSBI型だけを用いると、指摘と受け止められてしまう可能性があります。
- 行動を特定できていないと曖昧になる:Behaviorが曖昧だと「何を言われているのか」が分かりにくくなります。具体的に描写することが重要です。
- 過度のネガティブ化を避ける:「影響(Impact)」ばかり強調して相手を責めるトーンになると、防御的になってしまうため、事実+気持ちをバランスよく。
- 改善の方向性も提示する:相談・フィードバックが終わったら、次の行動や改善施策にも言及することで、建設的な流れになります。
- 一度きりで終わらせない:フィードバック・相談は定期的に振り返りを行い、改善を定着させることが大切です。
- 文化・環境による差:組織文化や対話文化が整っていないと、SBI型が「形式的」「型通り」と感じられる恐れもありますので、状況に応じて柔軟に使うことが望ましいです。
相談 SBI法をチームで定着させるためのヒント
チーム/組織で「相談 SBI法」を定着させるためには、以下の工夫が役立ちます。
- 共通言語として導入する:ミーティングや1-on-1で「今日はSBIでフィードバックしよう」と意識共有する。
- テンプレートを用意する:SBIの構造(S → B → I)を整理したカードやフォーマットを作成し、習慣化を支援。
- ロールプレイ・トレーニングを行う:実際の事例を使って「SBI型で相談・フィードバックしてみる」練習をする。
- ポジティブな場面でも使う:改善時だけでなく、うまくいった時にもSBI型で伝えることで文化化が進む。
- 振り返りタイムを設ける:「この前の相談・フィードバックでどうだったか?」を共有し、定着度合いや改善点を話す。
- 上司・リーダーが率先する:リーダーがSBI型を使って部下にフィードバックすれば、部下も自然に使いやすくなります。
まとめ
「相談 SBI法」、すなわち Situation(状況)→ Behavior(行動)→ Impact(影響)の順で整理して相談・フィードバックを行う手法は、対話を明確化し、理解促進・内省支援・信頼関係構築をサポートします。業務改善、評価会話、1‐on‐1、日常のコミュニケーションなど、幅広く活用できます。
ただし、信頼関係の有無や環境、対話のタイミングなど、注意すべき点もあります。定着には「共有言語化」「トレーニング」「ポジティブ活用」などの工夫が効果的です。
ぜひ次回の相談・対話の場で、「この場面(S)で、あなたがとった行動(B)は、こういう影響(I)を私/チームにもたらしました」という形で整理してみてください。きっと、対話の質が変わるはずです。


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