職場でのミスやトラブルが起きた際に求められる「始末書」。
しかし、いざ書くとなると「どんな内容を書けばいいのか」「謝罪文との違いは?」と迷う人も多いでしょう。
この記事では、始末書の正しい書き方や注意点、状況別の例文をわかりやすく紹介します。
社会人として信頼を失わないためにも、丁寧な文面で誠意を伝えるコツを押さえましょう。
始末書とは?意味と目的を理解しよう
始末書とは、勤務中の過失・ミス・規律違反などに対して、本人が反省の意を示すために提出する文書のことです。
単なる「謝罪文」ではなく、原因の説明・反省・再発防止策を明確に示すのが特徴です。
企業によっては人事記録として保存され、昇進や評価にも影響を与える場合があります。
そのため、形式や内容には十分な注意が必要です。
始末書の目的は、単に「謝る」ことではなく、
自分の行為を客観的に振り返り、再発を防ぐための行動を約束することにあります。
始末書と謝罪文・反省文との違い
似た言葉に「謝罪文」「反省文」がありますが、それぞれ目的が異なります。
- 謝罪文:相手に対してお詫びの気持ちを伝えるもの。取引先や上司宛などに使います。
- 反省文:学校や社内などで、ミスの反省を記す文書。形式は自由なことが多いです。
- 始末書:正式なビジネス文書として、会社に提出するもの。内容・形式が決められている場合があります。
つまり、始末書は社内向けの公式な文書であり、ビジネスの中で最もフォーマルな反省文書といえます。
始末書の基本構成と書き方のポイント
始末書は、以下のような構成で書くのが一般的です。
- 宛名(提出先)
例:「〇〇株式会社 人事部長 〇〇様」 - タイトル
中央に「始末書」と記載します。 - 本文
本文は以下の3つの段落構成にします。
①事実の説明(いつ・どこで・何をしたのか)
②原因の説明(なぜ起こったのか)
③反省と再発防止策 - 日付・氏名・所属部署
文書の最後に記載します。
書き方のポイント
- 主語は「私」を用い、責任を明確にする。
- 感情的な言葉よりも、事実を簡潔に述べる。
- 言い訳は避け、誠実に反省の意を表す。
- 再発防止のための具体策を書くことで、前向きな姿勢を示す。
始末書の例文①:遅刻・欠勤の場合
始末書
このたびは、○月○日に無断で遅刻いたしましたことを深くお詫び申し上げます。
当日は目覚まし時計の設定ミスにより起床が遅れ、出社時間に間に合いませんでした。
社会人としての自覚が足りず、業務に支障をきたしたことを深く反省しております。今後は、前日の夜に複数のアラームを設定するなど、遅刻を防止するための対策を徹底いたします。
同じ過ちを二度と繰り返さぬよう、時間管理を徹底し、職務に誠心誠意取り組む所存です。令和〇年〇月〇日
営業部 〇〇〇〇
このように、原因→反省→対策の流れを明確に書くことが大切です。
始末書の例文②:取引先へのミス・トラブルの場合
始末書
このたび、取引先の〇〇株式会社様への納品書に誤った金額を記載し、先方にご迷惑をおかけいたしました。
原因は確認作業の不徹底にあり、最終チェックを怠ったことによるミスでございます。今後は、出荷前および請求書発行時に複数名でのダブルチェック体制を構築し、再発防止に努めます。
このような不手際を二度と起こさぬよう、業務改善に全力を尽くす所存です。令和〇年〇月〇日
経理部 〇〇〇〇
この例では「社外トラブル」であるため、社内への報告文書でありながら、
「迷惑をかけた取引先への配慮」を盛り込むと誠実な印象を与えます。
始末書の例文③:社内ルール違反・コンプライアンス違反の場合
始末書
私は、会社の定める情報セキュリティ規程に反し、USBメモリを無断で持ち出しました。
幸い情報流出などの被害は発生しておりませんが、重大な規律違反であると深く反省しております。今後は社内ルールを再確認し、再発防止のため社内研修への参加や自己管理の徹底を図ります。
二度とこのような行為を繰り返さぬよう、誓約いたします。令和〇年〇月〇日
総務部 〇〇〇〇
このようなケースでは、**「事実を隠さず正確に」**書くことが求められます。
曖昧な表現を避け、具体的にどの規則に反したのか明記するのがポイントです。
始末書を提出する際の注意点
- 提出期限を守る
提出を遅らせると、誠意がないと受け取られかねません。 - コピーを取っておく
始末書は社内で保管されるため、自分の控えを残しておくと安心です。 - パソコン入力でも可だが署名は手書きで
最近はWordなどで作成しても問題ありませんが、最後の署名・日付は自筆が望ましいです。 - メールでの提出は避ける
正式な文書なので、印刷して封筒に入れ、直属の上司に手渡しするのが基本です。
始末書を求められたときの心構え
始末書の提出を求められると、焦りや不安を感じるものです。
しかし、始末書は罰ではなく、信頼を取り戻すための機会でもあります。
上司や会社は、本人の「誠意」を見ています。
事実を隠さず、真摯に受け止める姿勢を示すことが、社会人としての評価を左右します。
まとめ
始末書は、ビジネスにおける信頼回復のための重要な文書です。
形式に則り、事実・原因・反省・再発防止を正確に書くことで、誠意を伝えることができます。
失敗は誰にでもあります。
大切なのは、同じ過ちを繰り返さない姿勢を示すことです。
この記事を参考に、誠実な始末書を作成し、信頼を取り戻す第一歩を踏み出しましょう。
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