年末が近づくと、会社員にとって欠かせない手続きが「年末調整」です。
しかし、中途入社の方にとっては「前職があるけどどうすればいい?」「源泉徴収票は必要?」「控除申告書って何を書くの?」など、わからないことも多いものです。
この記事では、中途入社の方がスムーズに年末調整を行うために知っておきたい流れ・必要書類・注意点をわかりやすく解説します。
前職がある場合とない場合の違いも紹介しますので、自分の状況に合わせて準備を進めましょう。
年末調整とは?中途入社でも関係ある?
年末調整とは、1年間に支払われた給与から天引きされた「所得税」を精算する手続きのことです。
毎月の給料からは概算で所得税が引かれていますが、実際の年間所得や控除額に基づいて税額を再計算するのが年末調整です。
中途入社の方ももちろん対象です。
たとえ途中からの入社であっても、その年の12月31日時点で会社に在籍している場合、原則としてその会社で年末調整を受けることになります。
ただし、前職がある場合は「前職分の給与や税金の情報」も合わせて処理しなければ正確な計算ができません。
そのため、前職の源泉徴収票が重要な役割を果たします。
中途入社の年末調整で必要な書類
中途入社の方が提出すべき主な書類は以下の通りです。
● 前職の源泉徴収票
前職で働いていた期間の給与・所得税が記載されている重要な書類です。
新しい会社で年末調整を行う際に、前職分の所得と税額を合算して処理します。
退職時にもらっていない場合は、前職の会社に依頼すれば発行してもらえます。
● 扶養控除等申告書
配偶者や子ども、親など扶養家族がいる場合に提出する書類です。
これを提出しないと、扶養控除が適用されず所得税が高くなってしまう可能性があります。
年初や入社時に提出している場合も、内容に変更がある場合は更新が必要です。
● 保険料控除申告書
生命保険や地震保険などを契約している場合に提出します。
控除証明書(10月頃に保険会社から郵送される)が必要なので、紛失しないように保管しておきましょう。
● 配偶者控除等申告書
配偶者の所得が一定額以下の場合に適用できる控除を申告する書類です。
共働きの場合は配偶者の収入状況を確認しておくことが大切です。
前職ありの場合の年末調整の流れ
前職がある中途入社者の場合、年末調整の手続きは少し複雑になります。
① 前職の源泉徴収票を入手
まずは退職した会社から源泉徴収票を受け取りましょう。
通常、退職後1か月以内に郵送されます。届かない場合は、遠慮せずに前職の人事や経理部門に連絡しましょう。
② 新しい会社へ提出
源泉徴収票を新しい勤務先の担当者へ提出します。
これにより、前職分の給与・税額情報を合算して年末調整が行われます。
③ 控除関係の申告書を提出
扶養控除や保険料控除など、必要な書類を期限までに提出します。
多くの企業では11月〜12月上旬に提出期限を設けています。
④ 年末調整の結果を確認
12月または1月の給与明細で、年末調整の結果(還付金または追加徴収額)を確認しましょう。
前職での天引き税額が多かった場合は還付されるケースが多いです。
前職なしの場合(その年が初めての勤務)の流れ
その年に初めて社会人になった方や、前職がない方の年末調整はシンプルです。
- 会社から配布される「扶養控除等申告書」「保険料控除申告書」などを提出するだけです。
- 前職の源泉徴収票は不要です。
- 生命保険料控除や地震保険料控除などがある場合は、証明書を添付して申告します。
控除証明書を出し忘れると税金が高くなってしまうことがあるので、必ず期限内に提出しましょう。
年末調整を受けられないケース
次のような場合は、会社で年末調整ができません。
- 年の途中で退職し、再就職していない
- アルバイトや短期契約で年末時点に在籍していない
- 副業をしていて、複数の会社から給与をもらっている
このような場合、自分で確定申告をする必要があります。
翌年の2月16日〜3月15日の期間に、税務署またはe-Taxで手続きを行いましょう。
中途入社の年末調整でよくあるトラブルと対処法
● 源泉徴収票の提出が遅れた
年末調整の締め切りを過ぎてしまうと、会社での処理が間に合わないことがあります。
その場合は、翌年に自分で確定申告を行うことで税金を精算できます。
● 前職分の税金が二重課税になっている
前職分の源泉徴収票を提出し忘れると、前職で引かれた税金が考慮されないため、多く税金を支払うことになります。
翌年の確定申告で調整が可能です。
● 保険料控除証明書をなくした
保険会社に再発行を依頼できます。
年末調整の提出期限までに間に合わない場合は、確定申告時に提出して控除を受けることができます。
年末調整と確定申告の違い
混同されがちですが、「年末調整」と「確定申告」は似て非なる手続きです。
- 年末調整:会社が社員の代わりに税金を精算してくれる手続き
- 確定申告:自分で1年間の所得をまとめて税金を申告する手続き
つまり、会社員は基本的に年末調整で完結しますが、
医療費控除や住宅ローン控除の初年度など、年末調整で処理できない控除がある場合は確定申告を行う必要があります。
スムーズに年末調整を行うためのポイント
- 前職の源泉徴収票を早めに入手する
退職後すぐに発行してもらうよう依頼しておくと安心です。 - 控除証明書を整理しておく
生命保険・地震保険・小規模企業共済など、控除対象の証明書を一式まとめておくとスムーズです。 - 会社の提出期限を必ず守る
人事・総務部門は一斉に処理するため、期限厳守が重要です。 - 不明点は早めに確認する
年末調整の書類は専門用語が多く、迷いやすい部分もあります。
わからない点は遠慮せず担当者に質問しましょう。
まとめ
中途入社の年末調整では、「前職の源泉徴収票」がカギとなります。
これをきちんと提出すれば、会社が正確に所得税を計算してくれるため、自分で確定申告する必要はありません。
逆に、提出を忘れると税金を払い過ぎてしまう可能性があります。
また、保険料控除などの証明書も期限内に提出しておくことが重要です。
年末調整は少し面倒に感じるかもしれませんが、しっかり準備しておけば還付金が戻ることもあります。
「自分で確定申告をしなくて済むように、早めの対応を!」を意識して、年末の手続きをスムーズに済ませましょう。


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